鉛色の紙飛行機

ゲームについての感想など。

レジェンドオブレガシーの感想と紹介:探索と試行錯誤のRPG

前回に引き続きフリューのRPG、今回は賛否両論な「レジェンドオブレガシー」を紹介します。
実は、この記事を書きたかったというのがブログを立ち上げた大きな理由だったりします。

私がこのゲームを購入したのは「アライアンス・アライブ」をプレイした後でした。覚醒やポジションのシステムがかなり面白かったので、もう少しこのシステムに浸っていたかったんですよね。
関わっているスタッフも同じで画面の雰囲気もそこまで変わっていなかったので、同じ感覚で遊べると思っていました。ようは高難易度版のアライアンス・アライブを期待しての購入、ということになります。
実際にプレイしてみると、システムは似ていても戦い方そのものが違っていましたが。

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一言でまとめると、自分がRPGに対して持っていた固定観念を打ち砕いた作品でした。
とにかく衝撃的で、クリアして時間が経った今でも面白かったのか辛かったのか良く分かっていない状態です。
それでも思わず2週目を始めてしまったので、独特な魅力があるゲームだと思っています。これはこれでありだな、と思わせるものがあると言いますか。

まず、主人公が7人もいると群像劇を期待してしまいますが、個別のストーリはほとんどありません。オープニングでアヴァロン島へ向かった経緯が語られ、エンディングで後日談が語られるだけです。
結果どうなるかというと、プレイ時間のほぼ全てがアヴァロン島の探索に割り当てられます。アヴァロン島の過去も、戦闘における精霊の役割も、プレイヤーの自身の手で見つけだす必要があります。
ゲーム側が物語を提示するというよりは、プレイヤー自身がアヴァロンでの冒険を通して物語を作るような感じですね。
ストーリーが薄く、さらにキャラがあまり喋らないからこそできる事のように思えます(賛否両論でしょうが)。
補足しておくと個別のストーリーが全くないわけでは無く、探索中に発するセリフはそれぞれ違いがあります。

このゲームの特徴は主人公達とプレイヤーの距離の近さ、そしてプレイヤーの工夫が求められる独特な戦闘にあるような気がしています(9/11修正)。
主人公たちは「アヴァロン」という島のことをほとんど知りませんし、既にアヴァロンにいる冒険者達もそれは同様です。島そのものが未踏の地なので道案内もなく、地図を書きながら手当たり次第に探索をすることになります。
アヴァロン島は、主人公たちとプレイヤーのどちらにとっても未知の島です(9/11修正)。プレイヤーが知らない事は主人公達も知らない事がほとんどなので、主人公たちと同じ目線に立ってゲームを進める事ができます。

拠点となるイニティウムには多くの冒険者達が集っていますが、彼らのセリフは予想以上に多く用意されています。

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有益な情報を教えてくれる事もあるので、話しかけて回る事をおすすめします。
ストーリーが進めば彼らのセリフも変化していきますし、ゲームへの没入にも一役買っています。ちょっとしたセリフの変化とはいえ、プレイヤーの行動に対して反応があるのは嬉しいですよね。

最初のイベントでも説明されますが、アヴァロン島は精霊と深い関係があります。

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様々な場所にある岩を調べ、アヴァロンの過去を解き明かす事が一つの目的になります。この島で起こる様々な出来事については、この岩の語りによって徐々に説明がされていきます。
ストーリー中で明かされる謎はほんの一部です。残りは岩の語りやココ(ネコ族)のセリフから考察していく必要があります。
この辺りはアライアンスアライブにも引き継がれているような気がしますね。あちらは基本のストーリーがありますが。

精霊は戦闘にも大きく関わっているのですが、どういう影響をもたらしているのかは作中では触れられません。精霊による影響、そして精霊術については自分で試行錯誤しながら確かめる必要があります。
少しくらいヒントを出しても良かったと思うんですけどね…
物語と関わっている精霊はともかく、このゲームには説明不足な部分が多いので多少補足します。


このゲームの独特な要素について説明します。主に戦闘システム関係です。
まずはポジションの入手法についてです。
今作ではキャラにアタック、ガード、サポートの役割を振り分けることができ、ポジションを切り替えながら戦闘を行います。攻撃や防御以外に行動順も変動するのでかなり重要なシステムです。
もちろんポジションにも種類があるのですが、入手方法は島を探索している冒険者から教えてもらうことです。この入手方法はノーヒントでは気づきにくいように思えます。

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次はレベルについてです。
普通のRPGらしくレベルというシステムはあるのですが、これもアタック、ガード、サポートの3種類に分かれています。
これも曲者で、それぞれの意味が最初は良く分からないんですよね…
何を指しているのかというと、

アタック=攻撃力、命中率
ガード=守備力
サポート=素早さ

となっています。
どのレベルがアップするのかは、戦闘中に割り当てられたポジションの種類に応じて決まります。
敵が強力であるほどレベルアップの確率は上がりますが、結局は確率です。
苦労して勝利を収めたとしても何も成果を得られない事はあるので、これも賛否両論な評価につながっている部分だと思います。

そしてこれらのレベルは戦技の覚醒(新技習得)にも関わっています。
・キャラのポジションレベルと使用する戦技のポジションレベルの合計
・敵の強さ
・キャラごとの適性
によって覚醒のしやすさは変わってきます。
様々な技を覚醒したいのであればポジションレベルはバランス良く上げていく事をおすすめします。一つのポジションに特化していた場合、目当ての技をなかなか覚醒出来ないという事が起きます。攻撃技はアタックレベル重視、ガード技はガードレベル重視という風にある程度は分けられてはいますが、私はつまづきました。
ちなみにこれらの条件を満たせなかったとしても、習得自体は可能のようです(低確率ではありますが)。

ここからはこのゲームの「RPGらしくない部分」について触れます。
まずストーリーの薄さが当てはまりますが、これは省きます(冒頭で書いたので)。
また、マップに装備品が落ちていないのも珍しいですね。宝箱から得られるものは換金アイテムがほとんどです。
ある条件を満たせば強力な装備や有用なアクセサリーも拾えますが、運任せです。

もう一つは割合ダメージです。
普通のゲームの場合、レベルを上げて装備を整えてしまえば相手がボスであってもそこまで苦労せず倒すことができます(例外はあります)。防御力が上がれば被ダメージは確実に抑えられていきますし、最大HPが高くなれば一撃で倒されることは無くなりますよね。
ですがレジェンドオブレガシーは割合ダメージが猛威を振るうゲームなので、HPを上げたとしてもそれが手痛いダメージであることには変わりません。防御面が足りないとそのまま即死することもありえます。
この仕様があるので、序盤に脅威だった敵は後半でも脅威になりえます。(流石にHPは低いので先に殴ってしまえば良いのですが)。
割合ダメージはボス専用という訳ではなく、雑魚敵も多用してきます。そのため、雑魚相手でも冷静に守りを固めていく必要があります。

ここまでだと理不尽なゲームだと思われそうですが、全滅しないようにすること自体はそこまで難しくありません。守りを固めようにも相手が先に行動してしまってそのまま壊滅することはありますが。

一見勝てないような敵でも打開策はあるので、今まで散々に苦しめられた強敵を倒した時は達成感があります。

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ですがここにも問題があり、全滅のリスクを完全回避して勝とうとするとおそらくは戦闘が非常に長引くことになります。
上手い人ならリスクを犯さず手早く片づけられるのかもしれせんが、私の場合、一週目では泥沼のような長期戦になってしまいがちでした。
安定した戦術ばかり続けていると飽きてくるというか苦痛になります。これも評価が分かれる部分だと思っています。
とはいえポジション変更を駆使しながら様々な戦技や精霊術を利用すれば攻撃のチャンスは作れるので、長期戦でしか勝てない訳ではありません(9/11修正)。
個人的には、まず鉄壁の守りを用意してそこから少しづつ攻撃に転じていく戦い方が面白いと思っています。

戦闘に爽快さが少ないゲームではありますが、こういったこともできます。

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詳細は伏せます。一気に敵を片づけられる事が出来ますし、一掃してしまう方が良い事もあるのですが、その分リスクは大きくなります。

少しヒントを残しておくと、店売りの装備品はかなり優秀です。救命箱など役に立つものも多いですが、交易品を無理に厳選する必要はありません。そして盾と大剣は非常に役に立ちます。
個人的には戦技と精霊術一覧は調べてしまった方が遊びやすいと思いますが、ここは人それぞれですね。

最後に2週目への引継ぎ要素です。
大体はそもそも2週目が無いか強くてニューゲームができるかのどちらかだと思うのですが、どちらでもありません。
引継げるのはアヴァロンの書(図鑑)のみ、そして上位種のモンスターが出現する確率が上がります。
アイテム自体は引き続げませんが、いくつかのレアアイテムは次の周回で掘り出し物として売られるようになります。なのでアイテム回収が無意味というわけではありません。


かなり後回しになりましたが、マップ周りのシステムも紹介します。

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新しい地図を手に入れることでマップが解放されていきます。
地図は買う事もできますし、マップの探索で手に入れる事も可能です。

下画面には地図が表示され、キャラを操作して地図を埋めていきます。
地図には完成度があり、良く出来た地図ほど高値で売る事ができます。
地図埋めが好きな人は熱中しそうですね。

売ることのメリットは、
・マップに他の冒険者が出現する(ポジションが入手可能になる、ゲームオーバー回避)
・敵が弱くなる(強い敵が出現しなくなる、数が減る)
といったところです。
売った後でも地図は完成させる事ができるので、探索が辛いと思ったら売る事をおすすめします。

画面はこんな感じです。
森以外にも遺跡や洞窟など、ダンジョンらしいダンジョンが揃っています。

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変わっている部分は建物や木が下から生えてくることですね。飛び出す絵本といった感じで見ていて面白いのですが、地図を見ないと引っ掛かったりするので一長一短です。
敵はアライアンスアライブと同じくシンボルエンカウントです。
出てくる敵の種類はシンボルの見た目で判別できるので、避ける敵と戦闘する敵を分けて進むのもありです。
クイックセーブを駆使すれば全て回避して進むことも一応は可能です。

あとBGMにも触れておくと、かなり好みでした。
作曲は浜渦さんなので落ち着いた曲が多めですが、『ドラゴンバトル』のようにギターが目立つ一風変わった戦闘曲もあります。
前半の戦闘曲『双次元バトル』も曲の出だしから盛り上がります。
『旅立ち』『精霊使い』などピアノが目立つ曲が多いのも嬉しいですね。
RPGはこれで最後にしたい」というコメント通りかなり曲には凝っているようで、特定のキャラにしか使われないBGMもあるようです。
いまいち良く分かっていませんが、『奪還』と『勇気』はフィルミアのみで『存在の証明』はビアンカのみですかね?
また、メインテーマのメロディは他の曲にもアレンジされて使用されています。
重要な場面でのBGMに使われている事が多いのですが、私が気づいたのはサントラを購入した後でした。

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本音を言えば、レジェンドオブレガシーは自分にとって少し難しすぎました。
ですがバフにデバフ、行動順の調整から状態異常まで使った戦闘は新鮮でもありました。自力で試行錯誤して対応していく楽しさを知るきっかけになったので、良い経験になったと思っています。

個人的には世界樹の迷宮が好きな人にもプレイして欲しかったりします。
キャラメイクはできませんがストーリー薄め、地図要素有り、戦闘重視という点では合っていますし、少しづつ謎が解き明かされていく部分も似ています。
戦闘の中身はかなり異なるので気軽におすすめはできませんが…

なんだかんだで悪い作品ではないので興味があればやって欲しいRPGです。簡単には忘れられないようなゲーム体験ができますよ。
気が休まらないゲームなので息抜きには向きませんが、戦闘システムを重視するプレイヤーなら楽しめるのではないでしょうか。

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